赤き大地が育む、ケニアの宝石
― レッドマウンテン ―
それは、遥かアフリカ大陸の東、緑豊かな大地と力強い太陽に抱かれた国・ケニア。
ナイロビから車でおよそ3時間、ケニア山の南麓に位置するキリニャガ地区には、燃えるような赤土がどこまでも広がっています。
この地は古くから「キクユ」と呼ばれ、豊かな火山性土壌が農作物に恵みをもたらしてきました。その中でも、特別な輝きを放つのが、レッドマウンテンと呼ばれるコーヒーです。
「レッドマウンテン」の名前は、この象徴的な赤土に由来します。
土は生命を育む大地の記憶であり、ここではその記憶が、完熟したチェリーとなって実を結びます。
一粒一粒が、まるで赤い宝石のように色づくその瞬間を見極め、小作農家の人々が丹精込めて手摘みします。
その数、650軒を超える農家。彼らの誇りと技が、このコーヒーに深みと物語を与えています。
精製と乾燥、自然との対話
収穫された完熟チェリーは、収穫後すぐに水洗式の精製施設へと運ばれます。
水の流れに身をゆだねながら、果肉が丁寧に除去され、純粋な豆だけが姿を現します。
その後、アフリカ特有の乾燥法である「アフリカンベッド」に広げられ、たっぷりと太陽の光を浴びながらゆっくりと乾かされます。
昼は乾燥、夜は冷気で休息。この絶妙なリズムが、味わいの奥行きを育みます。
カップに広がる風味のレイヤー
一口含めば、まず感じるのは完熟した柑橘を思わせる明るく爽やかな酸味。
それは決して尖ったものではなく、どこか穏やかで、静かに舌の上に広がる柔らかな光のよう。
次第にスパイスのようなエッジの効いた香りが現れ、しっかりとしたボディ感が全体を包み込みます。
このコーヒーは、酸味が味わいの輪郭を描き、甘味が中心を照らすような構成です。
中深煎りで焙煎された豆は、まさに「完煎り」。浅煎りにありがちな雑味や青さは一切なく、透明感のある酸味と甘味が共存しています。
それは、柑橘の酸味の中に蜜のような甘さが溶け込んでいるかのような、複雑かつ優美なハーモニー。
原産地のストーリー
キリニャガ地区は標高1750〜1800mという高地にあり、昼夜の寒暖差が豆の密度を高め、ゆっくりと糖度を蓄える環境を提供します。
この地域では、伝統と革新が共存しています。古くからの知恵を活かしつつ、近代的な設備を導入し、品質へのこだわりは年々進化を続けています。
ここで働く人々は、コーヒーが「文化」であり「誇り」であることを知っています。
商品情報
原産国 | ケニア |
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生産地域 | ケニア山南部 キリニャガ地区 |
生産者 | 650〜700軒の小作農家 |
規格 | AA |
品種 | SL28、Ruiru11 |
精製方法 | ウォッシュド(水洗式) |
乾燥方法 | アフリカンベッドで天日乾燥 |
標高 | 1750〜1800m |
収穫時期 | 11月〜1月 |